暖炉
<遊戯>

 ぱちぱちと、暖炉の中ではぜる音。
 寒風吹き荒ぶ季節だが海馬邸の中は暖かい。

「ボク…暖炉ってずっと憧れだったんだ〜!」
「へっへ〜!いいだろ?」

「けど。実はオレも…憧れてた」
「え…?」


「何か、何かさ。暖炉があるってさあ」
「うん?」
「こう…家って感じするじゃん?」
「あ…」


「…うん」


 橙色の暖かな炎を見ていると、心の中まで暖まる。
 それに。しっかりと燃える暖炉の火は、まるで家を護ってくれている様で…



 椅子に逆さに座って、背もたれに顔を乗せて。。
「兄サマは特に何にも言わないけどさ」
 暖炉に向かってぽつり、モクバが言う。
「でも…スゲー良かったって、オレ思うんだ…」


「兄サマの家、ここにあるぜい!…って」
「うん」

「本当に、そうだよね…」



 護りの炎に手をかざしながら、寒さの中を突っ切って帰って来る人を待つ。早く帰って来て、ここは暖かいから…全てが揃っているんだから、そう心で呼びかけながら。
 それは決して短い時間では無いけれど、暖炉の前では待つ間もちっとも苦にならない。
 それに…遊戯はほんの少し頬染める。


 ここで彼を待っている事は。
 何か。特別な気がするから…


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