ムダ毛
<海馬>

 申し分の無い幻想世界…自ら構築したバーチャル世界で、海馬は満足気に笑み浮かべる。
「フン…究極だ」
 そして。何より…


「わあ…凄いや!」


「…ボクすご〜く楽しいよぉ…!」


(遊戯…)
 海馬の眼が、細まる。
(俺は。お前がいれば、もう…)

 ザッ…一歩、前に出る。
 そして。はしゃぐ遊戯の元へと近付こうとした…
 …だがッ!!


『クリ〜Vv』
「わ!クリボーだ♪」
『ク〜V』
「ふわふわ、だね…」


 遊戯は。毛玉の怪物抱えた上に、頬擦りさえ始めたのだ…


 …ぶちっ!!


「おのれええええ!俺は絶対に認めんぞ!」
「え…海馬くん!?」
 ゴゴゴ…背に纏うは蒼き炎。
「ええい!どけ!この毛玉風情が!!」
『クリ!?』
「ちょっと、何を…」
 慌ててクリボーを庇う遊戯に…今度こそ、海馬の堪忍袋の尾が切れた!!


「ええい!」
 怒髪天突く勢いにて海馬が得物を振り回す…何処から取り出したのやら、無体に大きな鋭きバリカン。
「毛玉風情が邪魔ばかり…ムダ毛めが!ええい刈り取ってくれるわ!」
「ちょっとぉ!?」


「海馬く〜ん…落ち着いてよぉ…!」


 海馬が究極の幸福を手にするのは。
 まだ、先になりそうだ…


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