空
<遊戯>
「見ろよ!ほらスゲーぜい!」
「え?…わあほんとだー!」
モクバと遊戯の見上げる先、天空のスクリーンに豊かなグラデーションが広がっている。西の空は暖かに淡い茜色、続いてライラックがかった薄紫…そしてやがて夜の半球へと。
「奇麗だよなあ…」
「うん…」
「でも」
「ボク、昼間の空の方が好きだよ…それも雲なんか一つも無い、快晴の空…」
「へ〜え?」
ニヤニヤと、モクバが遊戯を覗き込む。
「それってさ、何でだよ?」
「え…」
「そ、それは…」
あのスカイブルーに誰を想って見上げているなんて。
そんな事…
「いいでしょ!好きだから好きなの!」
「ふ〜ん?」
「好きだから好き、かあ…」
追及の手こそ緩んだが、モクバは変わらず笑っている…
「もぉ…」
「けどさ」
「…え?」
「兄サマはさ、この夕焼け空…結構好きだぜい?」
「え…海馬くんが?」
曙光の空では無く…?
「だってさ、何か似てるじゃん?」
「え、何に?」
モクバが一層悪戯っぽく、愉快そうに笑って遊戯を見た。
「この…スゲーでっかい眼の色さ!」
「…!」
そう、実際大きく開いたその瞳は。
赤とも紫ともつかぬ…神秘の輝き放っていた。
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