微笑み
<遊戯>
海馬くんの事、冷たいって言う人がいる。無表情だから、何だか怖いって言う人もいる。
でも。全然、違うんだよ…?
…かちゃ、かちゃ、かちゃ…
一生懸命運んでも、トレイの上で音が鳴る。やっぱりボクって下手かな…でも。海馬くんのためにボクも何かしたいもの。
…かちゃ、かちゃ、かちゃ…
海馬くんの好みは濃い目のストレート、ミルクも砂糖も何にも無し。でもそれだけシンプルだから、味は絶対誤魔化せない…
豆の銘柄とかモクバくんから教わったけど、家で練習しようにも誰もコーヒー飲んでくれなくて。仕方無いから自分で飲んで、だけど苦過ぎてくらくらになっちゃって…味なんかちっとも判らない。
だから…だから。うんとうんと頑張ったけど、今の今だってすごく不安…
ちょっとでも。海馬くんの口に、合います様に…
「フン…毒味してやるか」
…もぉ!運んで来た途端、この台詞!ボクは思わずむくれちゃう。
でも…本当はね。ボク、知ってるんだ…
「悪くは無い、な…」
言葉は本当に短いけれど、だけどボクは一杯になる。
だってね、こんな時だけ…ほんの一瞬の事だけど。
ボクだけを見て…微笑んで、くれるんだもの…
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