桜の下で物思う
<海表>
晴れた空、冬の薄曇りや夏の青空ともまた違う…春の空はセルリアンブルー、本当の空色の空。
その穏やかな色のキャンバスに桜の花が綺麗に咲く…
淡い色合いのコントラスト。
「綺麗だね…」
ため息の様に小さく呟く、大きな声で叫んだら消えてしまいそうな気がしたから。
これはきっと優しい夢、思い出の様に繊細な…
…記憶。大切な大切な壊れ物。
柔らかな色の花霞が追憶の果てへと連れて行く。惜し気も無く花弁を散らすその姿、春と言う季節を全力で駆け去って行く様…喚起されるは鮮烈なイメージで。
どうして…?問わずにはいられない。もっとずっと、留まっていて欲しいのに…
「遊戯…」
そっと抱き締められる、それだけ。言葉も何も無い。
けれど。それだけでもう、堪えて来た涙が流れてしまう…
「よくも干涸びんモノだな」
突き放す様な、皮肉を装った声。
「…だが」
「涙で流せると言うのなら…存分に泣け」
「…うん…」
だけど、だけどね。哀しいだけじゃ無いんだから。今はまだ辛いけれど、どれも煌めく大切な…ボクを形作っている、大切なピース。
それに。一人だけだったら…
ボク、泣く事だって出来ないもの。
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