※ここに来て…やっと本題(遅!)
※しかも短いです(泣)

KC☆Earth(4)


 遊戯の元に一通の封書が届いたのは。
 あれから、わずか一週間の事だった。



「ええと、『招待状』…?」
 …中に入っていたのは見なれぬカードだった、ただアドレスが記されているだけの。
 さらに。
「KC Earth…?」
 同じく覚えのない、不思議な固有名詞をも。
 あとはわずかなメッセージ、海馬自身の直筆の。


『お前の無理難題に応えてやる
 だがタダとは言わんぞ
 全てはこのニュープロジェクト
 KC Earthをクリアしてからだ!』


 傲岸不遜、彼らしい。
 それに…
「もう、海馬くんてば!」
 くすり、小さな笑み一つ。



 …文面の何処にも焦燥は無い、ただ溢れんばかりの自負と自信のみ。
 昏い影など振り切って、ひたすら全速前進明日へ未来へ駆け上がるだけ…!

 それが心底嬉しくて。
 ごく自然に。遊戯は指定アドレスへと、半ば無意識にアクセスしていた…
 …海馬の、企みも知らず。




「あ、デュエルディスクも使うんだ!」
 …海馬が自ら開発した技術である、衛星回線を通じてデュエルディスクの情報が全てKCのメインサーバにリンクするのを利用して、ネット対戦にいつものデッキを使える高度なシステム。慣れない操作で新たにバーチャルなデッキを組む必要も無く、カードセットなどの作業も全く常通り、またデュエルディスクそのものに固有の識別番号があるのを利用して不正アクセス対策も磐石の。
 いそいそと『招待状』を…これが言わばIDカードをも兼ねているらしい…ガイダンス通りにディスクにセット、即座に認証OKのダイアログ、そしてほんのわずかのローディング画面、待たせると言うよりもまるで物語のオープニング…わくわくする気持ちが止まらない。
「どんな…どんなゲームだろう…?」
 ほとんど無意識に。遊戯は眼を輝かせ身を乗り出していた…


 …そもそもの『切っ掛け』を。
 うっかり、すっかり忘れてしまって。




「凄いすごい!」
 …短くも凝ったイントロの後に待ち受けていたのは定石通りにデュエリスト、勿論仮想プレイヤーだがその臨場感にはもうため息が。
「前にテストさせて貰った時より…絶対凄くなってるよ!」
 デュエルディスクを使ってのリアルなプレイ感覚、それに仮想の対戦相手の見事なこと!良くあるcom対戦にありがちな単調感はまるで無く、ちょっとでも気を緩めればたちまち巧妙なトラップを仕掛けられる…コンボのバリエーションも多種多彩、独特の癖まであってまるで本当に対戦している様な…
「…あれ?」

 その仮想のデュエリストのプレイングに。
 妙に不自然な所があるのに気が付いた。

「どう…したんだろう…?」
 …ひどく好戦的なタイプの仮想プレイヤーだった、二者択一を迫られる局面で迷わず攻撃を選ぶ様な。けれど途中からそのスピードに陰りが見えて来た、何処か決め手を欠いている様な…
「さっきまで…あんなに勢いがあったのに…」
 何だか。心配になってしまう。

 …決して弱くなった訳ではない、相変わらず鋭い攻撃が幾つも幾つも。油断は禁物、実際わざと甘い攻撃を仕掛けたら、たちまち鋭い反撃返された…なのに何かが確かに足りない。無駄が少しも無かった魔法・トラップだって、漫然と置かれたまま、発動する気配が無く。
「でも…」
 相手は必死にデッキを回していた、何かをひたすら待つ様に。
 大きなコンボを。起死回生の一手を、狙っている様にも見えるのに…!


「う〜ん…」
 少し悩む、本気で心配なのともう一つ、相手のコンボが知りたくて。
 とは言えそれは無謀と紙一重、既にライフの余裕も無い今、探りを入れるのも正直厳しい。
「難しいけど…でも…」


 出来ない事では決してない。


「…うん、よし!」
 気持ちを切り替えてしまえば後は早い、相手にそれと悟られないよう…仮想とは言え何だか気付かれそうだから…さり気なく、プレイングを変えて。隙をちょっとだけ、見せながらのギリギリ回避、ただ勝ちに行くより大変だけれど、それだけに…
「ふふ…」
 …とても、楽しい。





 元々…デュエルをしている時間が好きだった。


 …負けるのは勿論悔しい、そして勝つのはやっぱり嬉しい。でも、それ以上にデュエルそのものが大好きで。少しでも長く、対戦していたかった。
 それにデッキを知るのがまた楽しい、組んだ人の心がどうしたって滲むから、まるで会話をしている様で。それに知らないコンボを見るのも…バラバラのカードが繋がる様、それにどんな思いで組んだのか、其処には物語が溢れているから…

 だから、楽しい。
 相手の物語を読むたいから、相手に心行くまで、カードで語って貰う…当然難易度は勿論跳ね上がる。相手を封じる事なく、けれどデュエルを途切れさせる事もなく、限りある手持ちのカードだけで答えて行く…でもだからこそ、自分の見慣れたデッキにも、新しい言葉が見えて来て。
 そして何より。最後まで闘い抜いた時、其処に必ず、新しい物語が現れるから…!
「だから…お願い、見せて」




「キミの最高の…物語を、ね☆」


 >>5へ


 原作でもあんまり突っ込んだ描写無かったですけど、表ちゃんて1KILLとかやらなそう…あんまり好きじゃないってのもあるでしょうけど、やっぱり表ちゃん、「勝ち」より「楽しい」のが嬉しいから。長く一緒に楽しめる、そんなデュエルがきっと好き。
 …勿論、海表スキー的にはそんなデュエルを是非!社長とヤって欲しい!(←カタカナ止めろって;)と思って止まんのですが、それはそれとしてこう言うのもアリかなーと。「タダとは言わんぞ」って言いつつ、この条件自体が完璧プレゼントじゃーん?…まあ、萌え的にはもっと直接的なヤツ(どんなヤツだ)の方が煩悩面で嬉しいですが、こう言う持って回ったと言うか、滅茶苦茶迂回する感じのプレゼントって言うのもある意味海表らしくっていいかも、と。

 それに何だかんだ言って社長も表ちゃんも本当にゲーム好きだなあ…直接逢いに行くッ!とかだとあんなにテンパる癖に間にゲーム挟むと途端ノリノリってなあ…ホントに難儀なカプや(^^;)

 でもでもそんな事より!はよ続き書かねば…!漸く本題に入ったって言っても、あくまでタイトルロール(?)が登場しただけで全然タイトルの説明になってないし…
 それにお馴染み(殴)KCの危機!今回完全スルーでえええどうなったのォオオオオオ〜!?ってなモンですが、まあその辺詳しく書くとネタバレになるので…おいおい、ぼちぼちと。

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