※展開…遅い…(泣)まだタイトルの意味にまで辿り着けず…orz
※あと前にも書きましたが、表ちゃん時々KC開発チームに助っ人参加しているので、かなり面識有ったりします<本文に書けや

KC☆Earth(5)


 ギリギリの攻防、ハラハラだけど…眩しくてキラキラする、一度しか無い大切な時間。初めてのデュエリスト、初めてのデッキとのデュエルはほんとうにワクワクで。もう夢中でカードを繰出していた、流れる様に過ぎて行く時間!
 けれど。そんな楽しいひとときの末に…訪れたのは唐突な幕切れ。

「そんな…」

 画面に浮かぶのは無味乾燥なメッセージ、ただ起きた事だけを告げる事務的な。

「あんなに…あんなに頑張って…たのに…」

 呆然と瞬きを繰り返しても。チカチカと眼の前で点滅する文字は変わらない。

「ほんとうに…どうして…?」



「デッキ、切れ…なん…て…!」




 …遊戯の山札にはまだまだ余裕が残っていた、勿論繰出すべきコンボもまだ幾つか。けれど相手は思う以上にギリギリだった、その上デッキを激しく回転また回転…結局、それが敗因に。
「どうして…」
 いまだ信じられなくて呟いてしまう、だってキーカードは最後まで、結局の所でなかった、なのにあんなに無茶にデッキを回転…?

 まるで。何かを懸命に、探しているみたいに…!
 そう、思ったところで。デュエル画面の下に小さな小窓がそっと開かれた。



『なくしたんだ』
「え…?」
 開いた小ウインドウはチャット用の、オンラインゲームで良くある対話用の小さなスペース。其処にぽつりぽつりとメッセージ、相手の…仮想の…プレイヤーからの。
「何を…なくしちゃったの…?」
『カードだよ』





『一番大事にしてたカード…だったのに…!』





 …今はもう、消えてしまった一枚のカード。
 キーカードだった、デッキにとっての一番の要。それ一枚が欠ければもう、コンボどころか戦略全てが崩れてしまう…それ位に大切な。
 その一枚のために一生懸命組んだのに。きっと、ドキドキしながら考えたのに…

 だから。ショックだった、信じられなかった…なくしてしまった、その事が。
 だから。認めたくなかった、否定したかった…起きてしまった、その事実を。

「だか…ら…なの…?」

 だから。デッキをひたすら回転させた、まるでそのカードが変わり無く、デッキの中にあるかの様に…!

「う…っ…」

 …それは。はったり等では決して無く。
 酷く切なく、哀しい欺瞞…

「どうにも…出来ない…の…?」

 胸が痛くて。涙が零れ落ちそうだった…
 その時。


『頼みがあるんだ』


 もう一度、画面の中に。
 相手のメッセージが現れた。





「…え?」
 慌てて身を乗り出す、デュエルが終わったのに語られる言葉。
「ええと…ボクに出来る事なの?」
『探して欲しいんだ』

『なくした…あの、カードを』
「…!!」

 その言葉を最後に対戦画面がすううと消え、静かに現れる別の画面。
 そして始まる新たなガイダンス、眼を瞬かせながらも見つめている内に。沈痛そのものだった遊戯の顔にも再び明るさが戻って来る…!


「そう言う…事だったんだ!」


 大きく頷く遊戯に呼応する様に、ガイダンス画面が消えて行き。変わりに現れるは扉で模されたスタート画面。
「このゲーム…ただデュエルの勝ち負けで決まるんじゃない…」
 『失われたカード』が目的だったのだ、それもノーヒントでの探索…けれど大事な手がかりならもう既に!
「デュエルの中で、聞いたもの!」
 にっこり笑って臆せずクリック、広い広い探索空間へと…
「すっごく…楽しみ☆」
 …まるで迷宮の様なその場所も。遊戯にとっては優しい居間の様だった。




 広大な…目眩がする程の部屋の中、そしてさらに無数の隠し場所の中、各々に異なるカードが潜んでいた。
 暖炉を突けば炎の精霊の、水瓶の中からは同じく水の…しかしそんな素直な所ばかりでなく。カードの特殊効果や由来・背景にまで思いを馳せねばならない事も。でも、そんな謎解きがまた楽しい、何処にどんなカードが隠されているのか…残らずクリックしたい位。
 おまけに各々の隠し方にはちょっとした『癖』、仕掛けた人の姿が眼に浮かぶ様な…実際知っている顔が幾つも脳裏に、既に馴染みのKC開発スタッフ達の。敢えて直球を好む…様に見せ掛けて本命を常に隠してこっそりほくそ笑む技巧派やら効果モンスターをこよなく好むタイプやら、それと極めて律儀に几帳面に正道を決して外さない、酷く真面目なメンバーも…解けば解く程どんどんと、まるで再会しているよう。
「ふふ…」
 …それに。

「みんな…楽しそう!」

 シューティングでも格闘ゲームでも得意な遊戯だが本当はこんなゲームが一番で。誰かを傷つける事無く進めて行けて、しかもスタッフまで活き活きと作った事が伝わって来る…みんなが幸せなんて、もう何よりで!どんどんどんどん解いてしまう、時間が経つのも忘れ去って…!
「でも…」
 楽しい探索にも目的がある、目指すカードはたったの一枚、それにルールの部分にはさらりと何気なく厳しい一文…『お手付きすると ゲームオーバーです』…そうなったら最後、ここまで見つけたカードも全て没収、ステージも毎回ランダムだから何もかもがリセットに。

 となれば。まずは何をさておき、問題のキーカードを確保するのが正道だろうけれど…
 そうすると。もうその時点で、やっぱりゲームは終わってしまうのだ。


「…う〜ん」


 贅沢な悩み、もしも海馬が見ていればさぞかし苦笑しただろう…もっとも、遊戯本人は至って真剣。
「早く探して上げたいけど…でも…」
 …画面に並ぶカードホルダー、これまで見つけたカードが自動でセットされたもの。レアなカードも少なく無いが、それ以上に一枚一枚に篭るスタッフの熱意…仮想デュエリストのコンボを見たいと願った時と同じ位、どうしたって迷ってしまう。
「ううっ、ボクってホントに優柔不断〜!!」
 誰が責めた訳でも無いのにポカポカと、頭を叩きながら弱った声…だって遊戯にとっては余りにも、甘くて危険過ぎる誘惑だから…
 それ…に。


「海馬くん…」


 …無数のスタッフ達の熱意のさらに向こう、あの青の双眸の輝きがある。もっとも今回に限ってはそうそう表立ってはいない…大抵のプレイヤーは何も気付かず通り過ぎてしまうだろう、それでも遊戯には良く判る。
 決断し、指示を飛ばし、叱咤し…時に激励し。スタッフ全体を率いて行く、あの揺るぎない瞳。そう、各々のメンバーの個性の光るステージだけれどそれもこれも強力なリーダーシップがあればこそ、下手をすれば散漫な印象に終わってしまいかねない雰囲気がギリギリの所で締められている…画面の隅々にまで、あの冷徹なまでの眼差しが注がれていて。知りたくなってしまう…このゲームを、全部。
「どう…しよう…」
 急いで解かなきゃと言う思いと全部のカードを見てみたい気持ち、せめぎあいながらもやっぱり結局は進めてしまう。半ば無意識でクリックしてしまう、既にそれなりのレアカをゲットした場所だけれど不審の残るとある空間を…


「え…?」


 何も無かった筈の壁の上に。
 一幅の絵画が現れていた。






「何だろう…絵?」
 カードでは無い、けれどとても綺麗な絵画だった。風景画…何処とも知れぬ場所、なのに酷く惹き付けられてしまう…
「…あ!」
 きっと。絵の中に描かれた澄んだ青、それが誰かを思い起こさせるから…



「海馬くん…みたい…」



 …揺るぎの無い青だった、真直ぐ前を見据える眼差し思わす様な。けれど、鋭いながらもガラスの様な硬質さとは少し違っていた、もっと…そう、何処か笑みさえ感じさせて。傲然と構えながらもニヤリとする、そんな様が眼に浮かぶ…
「ボク…」
 どきん…胸が、きゅんとする。

 …今までだって感じていた、数々の仕掛けの背後に漂う存在感を。あの厳しくも情熱に満ちた青い瞳…時に強く感じてどきどきしてしまう程。ゲームが好きで良かったと思うのはこんな時、たとえ離れていてもプレイの間は感じられる、確かに繋がっていられるから…今の今も思わず耳を澄ませてしまう、伝わる『声』を聞きたくて。
 あの低く…自信に満ち溢れた声。その力強い声で引き上げてくれた、半ば強引に…でも、世界がとても綺麗に見える場所、びっくりする位に高くてなのにちっとも怖く無い、ため息が出る様な所へと…
 今の今も。耳を傾ければ聞こえて来る様だった、海馬の叱咤する声が。


  ―解いて見せろ!
  ―解けるモノなら解いて見せろ…
  …全てをな!


「もぉ…!」
 無茶な話だ、でも嬉しい。信頼されているのが判るから…あの強い眼をしたひとが信じてくれるから、それだけでもう百人力!
 それにもう一つ気付いた事、これでもう迷う事は無い…

 …あの青に心奪われながらも一瞬で気付いていた、例の絵画の周囲に幾つも不審。調度品がいつの間にやら変わっていたり、何も無かった筈の場所に品物が置かれていたり。試しに気になる箇所を突ついて見ても無反応、明らかに怪しいのに…要は、相当複雑なトラップで。それに探索進める内にもう一つ、場所によってはカードキー…要は、ゲットしたカードを使わないと開かない場所が幾つかあるのも判って来た。それはゲームを進めて初めて攻略出来る場所…
「…つまり」


「全部…頑張らなきゃ、だね!」





 かちゃ、かちゃ、かちゃ…遊戯が手を滑らせる度に新たなカードが増えて行く。あの青の色彩に導かれる様に次々と、広いステージを滑る様に巡って行く…
 ずっと、ゲームを続けていたい…そう願う気持ちは今だってある、けれどこうして前に進む楽しさも。立ち止まったままでは見えないカード、それが増えて行く様はまるで思い出積み重なる様…楽しい時間が過ぎたとしても、消えてしまう訳では決して無い。
 …それに。青の絵画を見る度思う、ただあの眼差しを連想させるだけでは無い、もっと大切な…海馬が幼い頃から持ち続けて来た、夢の輝きをも彷佛させるから…


 解いて行く事も楽しいと思う、先が行き止まりで無いならば。
 階段を一つ一つ登って行く様に、頑張った先はとても高い場所、世界を一望出来る様な…!
「…待ってて」
 画面に向かって囁く間も遊戯の両手は目紛しく動く、早く…あの青に届く様に、あの夢に近付ける様に!
「海馬くん…」
 半ば無意識で呟きながら。遊戯は今度こそ夢中で…一心不乱に隠れたカードを探し出していた。


 >>6へ


 うお…キーカード見つける所まで行く予定だったのに…(泣)
 それに地味ゲーで済みません…一応意味があるのと、表ちゃん、元々パズル解きの名手ですから…(うう…)
 こう言う『闘わない』ゲーム、表ちゃん凄く好きそうだから…勿論、闘う勇気もあるしプレッシャーもちゃんと跳ねかえせるんですけども、『楽しい』上に『みんなが幸せ』って、表ちゃんの究極の理想かと。

 あと、KCの危機、どうなっちゃったの!?ってなモンですが、一応大丈夫です。いやこの時点では実は全然大丈夫じゃ無いんですが、そもそも表ちゃんにこのゲーム贈った時点で社長の反撃は始まっていたり…(謎)
 とにかく表ちゃんが察知した通り、社長もKC社員さん達もノリノリです。何をやっても裏目に出る様な時ならそうはなりません。色々勝算があるからこそ、みんな頑張るし、その熱意が判るから、表ちゃんだって…そりゃあまあ、表ちゃんも重度のゲーマーだってのもありますけど(^^;)…むしろその熱意にほだされる感じでうっかりすっかり全部忘れてまで、没頭しちゃうんですよ。
 逆に、トラブル発生時にやっつけで作ったゲームだったら幾らスタッフが繕ってもすぐ気付く…表ちゃんて、きっとそう言う声無き声にとても敏感だから。
 社長も表ちゃんのそんな優し過ぎる一面、歯痒いとか色々思ってたみたいですけど…それを逆手に取って利用しちゃうなんて、ある意味成長したのかも。

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